2024年度 一般社団法人 大川青年会議所


理事長所信


第55代理事長 東 晃


 

はじめに

1969年、戦後の復興による経済の発展と明るい豊かな社会の実現をめざして、志高きチャーターメンバーにより大川青年会議所は歩みを始めました。歴史と伝統は先輩諸兄の情熱ある行動をもって脈々と受け継がれて今もなお、大川市、大木町地域にてJC運動・活動を展開しています。

青年会議所は、いつの時代も社会課題や自身を成長させる人財育成などに対し、仲間とともに挑戦する機会を与えてくれます。その挑戦は地域や、誰かのためになっていることが前提となっており、それこそが大川青年会議所が55年という歴史を紡いでこられた所以です。この挑戦することや自身ではない他の人のために動くことは変えてはいけない本質であり、今後も残し続けていかなければならない精神です。しかし、地域はもちろん、JCメンバーの背景も多様化してきており、青年会議所におけるルールや考え方は時代とともに常に見直していかなければなりません。

そもそもJCとは何か、この組織の必要性とは何なのか。今一度見つめ直そう。現状、社会を取り巻く環境は目まぐるしく変化し続けており、我々は常に学び、行動に移し、いち早く順応できる逞しさを兼ね備えておかなければなりません。青年経済人の学び舎であるこの組織で、常に今の自分を超えていくために果敢に目の前の壁に挑み、経験を重ね、志同じくする者とともに切磋琢磨することで、強く逞しく成長することができます。ひとを磨くのはひとであり、個の成長が必ず組織の成長につながります。逞しいJAYCEEが溢れる組織になっていけば、また次世代の逞しい人財を育てることができ、持続的な魅力ある組織へとつながっていきます。我々はJAYCEEです。この時代を生きる責任世代であり、メンバーそれぞれに大切な人を、会社を、地域を先導し、幸せにする使命があります。創立55周年の節目を迎えた歴史あるこの組織で自分自身の魅力を高め、この地域からより一層信頼される逞しい大川青年会議所をめざし、変化を恐れずに行動に移す時です。

 

次代への継承

 大川青年会議所は、本年で創立55周年を迎えます。全国で429番目に創設されて以来、明るい豊かな社会の実現という壮大な理念のもと55年間、市民の皆様、行政の皆様と手を取り合って今日まで歩んでまいりました。こうして無事に迎えることができるのも、今日まで様々な形でご支援をいただいた行政を始め地域関係者の方々のご理解ご協力と、高い志と誇りをもって受け継いできていただいた先輩諸兄の努力の賜物です。

コロナ禍の影響もあり近年希薄になりつつあった『絆』を再び呼び起こし、組織、地域、ひととのつながりをより一層強固なものとし、地域の能動者となる姿を見せていきたいと思います。また創立50周年時に提言した『アクションプラン2019』を改めて見つめ直し、明るい豊かな社会の実現へ向けた我々の進むべき道標を明確にした『アクションプラン2024』を策定し、次の創立60周年に向けた新たな一歩を力強く踏み出していきます。

 

変化を恐れない組織改革

近年、全国的にも青年会議所は会員の減少が重要な課題となっていますが、時代の流れとともに少数精鋭の組織でもやっていけるよう変化していくことが必要ではないでしょうか。もちろん会員拡大をする必要がないという意味ではなく、新たな会員拡大と現組織内の活躍人口の増加の両立が持続可能な組織に変化していくことが必要であると考えます。

昨今の社会情勢により、会員同士の交流の機会が激減している事態は組織の勢いという点において明らかに悪循環をおよぼしています。青年会議所ならではの友情は、社会への奉仕のために修練を積み重ねた先に気付けばあるものですが、主体的に行動に移す精神を醸成させるために、会員同士のコミュニケーションの場は必要なものです。『ひとはひとによって磨かれる』青年会議所はメンバーと共鳴し行動に移すからこそ、大きな成長を遂げる機会が与えられます。互いに切磋琢磨し、励まし合うことで活動への熱量を倍増させ、期待感を持てる場の空気を創り上げ、組織の勢いを高めていきます。そうすることで新たなメンバーも即戦力として活躍することができ、組織内に勢いを派生させ持続可能な組織へとつなげてまいります。

大川青年会議所が今後60周年、100周年と地域にとって魅力的かつ必要な団体であり続けるために、先輩たちが今まで築いてこられた多くの事業など、変えてはいけない本質をしっかりと理解した上で変えるべきものは変え、変化を恐れない組織改革に取り組んでまいります。

 

絆をカタチにした夢溢れる青少年育成

 2040年には今ある仕事の中で8割がなくなるといわれています。現代を生き子どもたちへの教育の在り方も変わってきており従来までの詰め込み型の教育では、近い将来訪れるであろう大きな競争社会で生き残っていくことは困難になるでしょう。私は子どもたちに、夢を原動力に自分で道を切り拓いていく、つまり『人間力』をしっかりと身につけてほしいと考えます。

急速なテクノロジー進歩により、子どもたちを取り巻く環境は、ますます私たちの想像もできない程に複雑であり多様化しています。しかし、このような変化が激しい時代にあっても子どもたちには夢を持ち続けることが必要です。夢を持つことの大切さや、夢を実現させるために努力していく過程で得られる感動や学びを伝えていく必要があります。

また『人間力』を身につけていく上で重要なことは、心が通ったコミュニケーションです。スマートフォンの普及やSNSの浸透、そして新型コロナウイルス感染拡大による活動制限など、以前よりも確実に対面でのコミュニケーションの機会は減ってしまっています。だからこそ、の表情であったり、仕草であったり、人のぬくもりを大切にした人間味溢れるコミュニケーションが大切だと考えています。

 1969年に大川青年会議所が創立されて以来、市民の皆様を始め行政や各種団体、日本全国の同志、さらには世界の同志など55年間でたくさんの絆とネットワークを諸先輩たちが育んでこられました。この貴重な財産を存分に活かし、カタチにした青少年育成事業を展開してまいります。一つの目的に向かって仲間と達成することの喜びや、さまざまな地域の人たちと触れ合うことにより多様性を知り、他人への思いやりを学び、『人間力』を醸成します。そこでの経験は子どもたち自信を与え、広い視野を持った子どもたちはやがて、将来に大きな夢を抱くことができるでしょう。未来を担う子どもたちは地域の、日本の、世界の財産です。子どもたちへ夢と希望を与え、明るい豊かな社会の一歩を築いていくのは私たちの使命です。

 

強烈なインパクトを与えるまちづくり

大川青年会議所では創立から今に至るまで、いつの時代も地域の課題解決に向けてまちづくり運動を展開してまいりました。先輩たちが展開してきた事業は地域に強烈なインパクトを与え、地域活性化の一翼を担ってこられました。しかし、現在大川市では人口減少と高齢化が進み、産業や農業においても高齢化や若者離れによる人手不足が顕著です。またこの地域には自然や文化財などの観光資源がありながらも、まだまだ魅力を多くの人に伝えることができていません。これらの課題に対して大川青年会議所と行政、そして地域が協働してインパクトのある新しい取り組みを推進していくことが持続可能な地域の一助となると考えます。

青年会議所と行政を始め、地域が協力し、地域社会の連帯感や活気を高めることがインパクトを与えるまちづくりの重要な要素になります。我々青年会議所だけでやるのではなく、団体の垣根を越えた交流や地域の魅力を共有することで、まちづくりに主体的に関わる人々のネットワークを形成します。市民をインスパイアし、地域に強烈なインパクトを与えるまちづくりは、地域の魅力や課題を踏まえた取り組みを通じて実現されます。愛する故郷のために産学官民が連携し、地域の未来を創造することができる運動を展開してまいります。

 

魅力溢れる人財育成と会員拡大

明るい豊かな社会の実現という壮大な理念のもと運動を行っている我々は、どの時代も地域に影響力をもった組織であるべきです。組織は大きくなればなるほど、一人ひとりが他者のことを想い行動に移す人財が多ければ多いほど、社会に与える影響力は大きくなります。メンバー各々が主体者意識を持つこと、どのように取り組み多くの人を巻き込んでいくか、で結果は変わってきます。曖昧な目標や行動からは、曖昧な結果しか生まれません。影響力を持った組織であり続けるために、メンバー一人ひとりが強い覚悟と決意を持った背中で語れる魅力ある人財へと成長できるよう取り組んでいきます。経験が浅いメンバーが半数以上を占めるこの状況だからこそ、若いメンバーならではの細やかな視点や斬新なアイディアにより、組織に新しい風を吹き寄せ、時代に即した魅力ある団体へとつなげていきます。

大川青年会議所は近年、会員拡大に対して組織全体で継続的に取り組んではいるものの、毎年のように重要課題となる背景としては、時代の流れや社会環境の変化により、明るい豊かな社会をめざす青年会議所ならではの特性が理解され難い時代になっているのかもしれません。青年会議所に属していなければ、地域課題に対して向き合うことも、経験し難い修練を積む機会もなかったであろう、ここに属していなければ出逢わなかったであろうかけがえのない友情を築く機会を得ることができます。これは青年会議所の最大の魅力であり、他の団体と大きく差別化することができるところです。会員数がただ多ければよいかというと一概にはいえません。しかし会員数の多い方が事業の大きさ、地域に与える影響力も多いのではないかと考えます。多様性溢れる仲間と気持ちを一つに、志同じうする者が相集い、力を合わせて地域をよりよくしていくことはもちろんのこと、縁があり同じ団体で活動できる同志を一人でも多く増やすことがとても重要になります。我々の使命は市民をインスパイアし、社会に強烈なインパクトを与えることです。その使命に全力で取り組む過程に成長や絆が生まれます。出会いに感謝し、これから出会うであろう新たな仲間とともに本気で青年会議所運動に取り組んでいきます。

 

むすびに

 『かつてない困難からは、かつてない革新が生まれ 

              かつてない革新からは、かつてない飛躍が生まれる』   松下 幸之助

 

いつの時代にも様々な社会課題が存在します。日本はこれまでも戦争や災害と闘い、幾度となく困難を乗り越えてきました。こうした先人たちがいる中で、私たちは諦めるわけにはいきません。どんな困難にも立ち向かい、そして乗り越えていかなくてはなりません。

我々は自己の利益を追うのではなく、地域のため、誰かのために、一人ひとりができる範囲の中でこの社会へ無償で奉仕をしています。このような尊い決断をし、実行に移す青年組織は他にはないでしょう。だからこそ混沌とした時代に地域を牽引するリーダーを一人でも多く輩出し、社会や組織を変え続ける仕組みを創ることが、我々、青年会議所として課せられた使命です。

地域の未来を刻む年輪は波紋のように大きく広がる。如何なる困難も乗り越え、地域のため、誰かのために行動に移し、社会に強烈なインパクトを与え、この地域を共創しよう。